なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

当院におけるタミフルの処方について

※この情報は2007年のものです。
今(2017年)はタミフルのみではなく、リレンザ・イナビル・ラピアクタを使用することもあります。
新たにUPしてあるインフルエンザ治療薬(タミフル・リレンザ・イナビル・ラピアクタ)の違い・副作用・処方についてをご参照ください。
なお、インフルエンザ迅速検査をされた方に院内でお読み頂いている、インフルエンザ迅速検査をされた方ヘの諸注意(インフルエンザ治療薬の副作用・特徴・処方等)もご参考になればと思います。インフルエンザ迅速検査の注意点やインフルエンザ治療薬の副作用や特長と処方方針、登園登校はいつからや感染防止策などについて説明してあります。




【 もしインフルエンザだったら…タミフル処方を希望しますか? 】


タミフルについては、服用後の異常行動が多数報告され、その関連性が疑われています。
現時点ではタミフルと異常行動との直接的な因果関係は証明されていませんが、厚生労働省の指示(2007年3月20日)により、タミフルの使用が「原則的に10代には使用禁止」とされました。

当院におけるタミフルの処方については以下のとおりです。

1.10歳代の方については、原則的にタミフルは処方しません。
ただし、受験生やインフルエンザによって重症化する可能性がある病気をお持ちの方の場合は、タミフルによる副作用をご理解の上保護者の方が希望される場合のみ、医師の判断のもとに処方致します。
2. 10歳未満のお子さんと成人の方については、希望される場合に処方します。
タミフルの副作用(↓参照)について理解して頂いたうえで、希望される場合は処方します。ただし、タミフル治療開始後の事故防止策として、保護者の方は次のことに配慮してください。

★異常行動の発現のおそれがありますので、少なくとも2日間、保護者の方はお子さんが一人にならないように配慮をお願いします。
★また、インフルエンザウイルスによる脳炎・脳症や高熱による熱せん妄などでも異常行動のような症状があらわれることがありますので、タミフルを服用していなくても十分注意してください。                    
★タミフル処方をご希望の場合は、サインを頂く必要がありますので、事前にスタッフにお知らせ下さい。  

※異常行動などの精神・神経系症状=普段と違うとっぴな行動をとる、うわごとを言ったり興奮したりする、意識がぼんやりする、意識がなくなる、幻覚が見える、妄想、けいれん等。
    


★★タミフル処方を迷っておられる10歳未満のお子さんの保護者の方へ(院長からのアドバイス)
◇ワクチン未接種の場合: 
症状が重くなる可能性もありますし、乳幼児なら合併症(中耳炎・脳炎・脳症・肺炎)の危険もあります。2日間しっかり付き添うことができるなら、小さいお子さんの場合何らかの異常行動が起こっても抱きとめることが可能です。なので、タミフルを飲まずに重症化・合併症を招くよりも、タミフルを飲んでそれらのリスクを未然に防ぐほうが有意義ではないかと思います。
◇ワクチン接種済の場合:
軽症ですむ可能性が高いので、いま本人がそれほどきつそうでなければ、飲まずに様子を見てもいいかもしれません。以前はタミフルというお薬自体もなかったわけですし、一般的には安静にしていれば5~7日で治る病気です。ワクチンを接種していれば、高熱は出ない可能性が高いので、無理にタミフルを飲む必要はないと思います。



【 タミフルの副作用について 】

タミフルの副作用で頻度の高いものは、腹痛(6.8%)・下痢(5.5%)・嘔気(3.9%)などですが、まれに、肝機能障害・ショック症状・肺炎・急性腎不全(全て頻度不明)などがあります。
2007年6月の厚生労働省の発表によると、01年から2007年5月末までの副作用報告は累計で1377人、そのうち服用後の異常行動は211人、死亡は71人(異常行動による死亡8人、突然死43人)でした。 昨年話題になった異常行動を起こした事例を年代別でみると、10歳未満が28%、10~19歳が53.1%で、19歳未満での事例が81.1%と大半を占めます。
そのうち10歳代の異常行動による死亡は5人で、それをうけて、2007年3月20日以降、タミフルの使用が「原則的に10代には使用禁止」とされ、薬剤添付文書の警告欄に以下の内容が追加記載されました。

(添付文書の警告欄に追加された内容)
「10歳以上の未成年者においては、因果関係は不明であるものの、タミフル服用後に異常行動が出現し、転落等の事故に至った例が報告されている。 このため、10歳代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則としてタミフルの使用を控えること。 また、小児・未成年者については、万一の事故防止策として、タミフルによる治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)保護者は少なくとも2日間、子どもが一人にならないよう患者・家族に説明をすること。なお、インフルエンザ脳症等によっても、異常行動が現れるとの報告もあるので、同様の説明をすること。」                                      



【 インフルエンザの合併症 】


細菌の二次感染による中耳炎・気管支炎・肺炎などが見られます。特に乳幼児では、インフルエンザウイルスによる脳炎・脳症を引き起こすことがあり、死に至るケースもあるので注意が必要です。
インフルエンザ脳症・脳炎は、0~6歳までの乳幼児に多く、大きいお子さんではほとんどみられません。症状としては、急な高熱の際にひきつけを繰り返す、ひきつけが終わったのに目が覚めない、目は覚めているがうつろな様子で変なことをしゃべったり、見えないものが見えたり聞こえたりします。そのような場合は、一刻も早く病院を受診してください。



【 登園・登校はいつから? 】


学校保健法においては、インフルエンザは熱が下がった後2日を経過するまで、幼稚園・保育園や学校への出席が停止と定められています。
※タミフルを飲んだお子さんは、比較的早く熱が下がる傾向にありますが、熱が無いからといって早速幼稚園や保育園に出してはいけないことになっています。迅速試験で試してみると熱が下がって1日たっても約80%、2日たっても約40%の子どもたちが陽性になる、すなわち、まだインフルエンザをうつす可能性があるからです。インフルエンザにかかったら熱の無い日が2日続くのを確かめてから登園させる約束になっていることを覚えておいてください。
 

【 感染にご注意ください! 】

インフルエンザウイルスは感染力が強く、潜伏期間も8時間~2日と短いため、家族皆さんでかかってしまうことも少なくありません。感染経路は、直接の接触と飛沫感染(咳や鼻水による)ですので、インフルエンザにかかった方とその周りの方の双方がマスク着用を心がけて感染予防に努めてください。