【いま流行っている病気は?】
感染性胃腸炎(特にノロウイルス)、そして溶連菌感染症(A群溶連菌咽頭炎)が、とても流行しています。
ノロウイルスは、国立感染症研究所(10/24発表)によると、昨年の2倍以上の増加ペースで流行していて、過去10年で2番目の多さとなっています。
また、溶連菌感染症は、11月に入って増えはじめました。とても感染力が強く、子どもだけでなく大人にもうつり、当院でも、家族内感染が多くみられています。溶連菌感染症の一番の症状は、のどの痛みで、吐くことも多く、抗生物質による治療が必要です。
福岡県医師会による感染症発生状況(46週=H2211.15~11.21) |
定点における患者数 |
報告数 |
前週比 |
一定点あたりの患者数 |
福岡県 |
全国 |
感染性胃腸炎 |
2208 |
127% |
18.04 |
7.70 |
A群溶連菌咽頭炎 |
253 |
122% |
2.11 |
1.44 |
水痘 |
190 |
107% |
1.58 |
1.27 |
りんご病 |
171 |
130% |
1.43 |
0.31 |
RSウイルス |
132 |
127% |
1.10 |
0.53 |
インフルエンザ |
38 |
79% |
0.19 |
0.25 |
【ノロウイルスが流行しています!】
症状は下痢や嘔吐、腹痛で、カキなどの二枚貝による食中毒が原因ですが、患者の嘔吐物や便を介しても感染(経口感染)するため、保育園や幼稚園、小学校などでの集団発生することも多いので注意が必要です。予防には、何よりも手洗いをしっかりすることが大事です。また、ノロウイルスにかかった子どもの嘔吐物を処理する際にも感染しやすいため、ビニール手袋やペーパータオル、消毒液を用いるなど、くれぐれもご注意ください。
★ノロウイルスは、石鹸などでは殺菌できない為、嘔吐物に接触した床や衣服など、塩素系消毒液(ハイターなど)を100倍に薄めた消毒液で消毒することをお勧めします。手や身体は、消毒液ではなく、石鹸を使ってよく洗い流してください。
【溶連菌感染症とは? 】
◆特徴:
A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)による感染症を溶連菌感染症といいます。秋冬から春(10~3月)にかけて流行します。のどから菌が入り、咽頭炎や扁桃炎をおこし、ひどくなると赤い発疹を伴う猩紅熱に発展します。一番怖いのは、治療を怠ると、急性腎炎やリウマチ熱・心臓弁膜症、血管性紫斑病などの合併症に繋がることです。
◆症状:
症状の代表的なものは、のどの痛みで、高熱が出る人もいます。舌にイチゴのようなブツブツ(イチゴ舌)ができたり、ひどくなると、赤く細かい発疹が、足のつけ根、脇、手足から全身に出来ます(猩紅熱)。その他に、頭痛、腹痛、嘔吐(吐き気)が見られることもあります。
◆診断方法:
15分程度で結果が出る迅速検査があります。のどの奥の菌を採取します。
◆家族内感染が多い:
溶連菌感染症は感染力がとても強く、家族の一人が溶連菌感染症にかかっている場合、ごきょうだいは勿論、ご両親にもうつっていることもあります。ご家族の方で、のどが痛い場合、具合が悪い場合は、受付の際にスタッフにお伝えください。ご希望の場合は待ち時間に検査ができます。
※大人の方で、内科を受診される場合、子どもが溶連菌感染症との旨を伝えて受診されることをお勧めします。内科では、小児科ほど溶連菌感染症が一般的ではない為、迅速診断キットを常備していないところもあるようです。
◆感染経路・潜伏期間:
唾やくしゃみを介する飛沫感染と皮膚からの接触感染があります。感染してから発症するまで、2~4日間の潜伏期間があります。また、治療開始から2日程度で他の人への感染力はなくなります。
◆登園・登校は?:
抗生物質を飲み始めて2日たてば、登園・登校は大丈夫です(発疹が出た人は消えるまで)。
◆治療:
再発や合併症を防ぐために、ペニシリン系の抗生物質を2週間しっかり飲む必要があります。お薬を飲み始めて2~3日目には、のどの表面の菌は死んで、見た目の症状は良くなります。ですが、のどの奥の菌はまだ残っていますので、途中でお薬をやめてしまうと再発することが多く、不十分な治療は、腎炎やリウマチ熱などの合併症を招きます。お薬は必ず最後まで飲み切るようにしてください。合併症を引き起こしていないかを調べるために、尿検査や心臓の検査も必要になります。スケジュール表をお渡ししますので、それに基づいてしっかり治療しましょう。