【 いま流行っている病気は? 】
テレビなどでも報道されているように、RSウイルス感染症、A群溶蓮菌感染症、マイコプラズマ肺炎が流行しています。感染性胃腸炎は、まだノロ・ロタウイルスなどの重症の下痢、嘔吐は見られていません。
インフルエンザは、福岡県では前週8例、今週2例で、全国的にも沖縄以外は流行していません。
福岡県医師会による感染症発生状況(第42週H23.10.17~10.23) |
病名 |
報告数 |
前週比 |
1定点当たりの患者数 |
福岡県 |
全国 |
感染性胃腸炎 |
542 |
127% |
4.52 |
2.63 |
A群溶連菌咽頭炎 |
194 |
154% |
1.62 |
0.85 |
流行性耳下腺炎 |
139 |
134% |
1.16 |
0.60 |
マイコプラズマ肺炎 |
125 |
102% |
1.04 |
1.23 |
突発性発しん |
110 |
133% |
0.92 |
0.51 |
RSウイルス感染症 |
75 |
153% |
0.63 |
0.55 |
インフルエンザ |
2(前週8) |
-6 |
0.01 |
0.06 |
【 今年のインフルエンザワクチンは? 】
今年もそろそろインフルエンザが気になるシーズンになりました。福岡市では10月中旬に中央区・博多区・城南区の小児科医院からA型インフルエンザの発症例が報告されましたが、その後流行開始には至っていない様です。
2年前に新型インフルエンザと騒がれたウイルス(A/H1N1) は、はじめ恐れられたほど重症ではなく、季節性のインフルエンザと同じように扱われることになり、すでに通常のインフルエンザワクチンの中に組み込まれています。
当院では10月1日からワクチンを始めています(年齢6か月以降~/小児3000円/大人4000円:大人は小児のご家族のみ)。
注射の予約は必要ありませんが、順番予約はしておかれたほうが待ち時間が少なくて済みます。
6か月未満の赤ちゃんは抗体ができにくいため、周囲の大人が予防することが大事です。
以前は頻繁に受診されていた小さい子ども達が大きくなって久しぶりにインフルエンザワクチンでお会いすると皆さん素敵なお嬢様、凛々しい少年・青年に成長して、勉学にいそしんでいるご様子です。私にとっては学校の先生の楽しみにも似て忙しくも嬉しい日々です。
◆接種量の変更について:
今年より13歳以下の子供たちへの接種量が変更されました。
長年日本では、WHO(世界保健機構)の推奨するワクチンの量よりも格段に少ない量でした。予防効果が低い原因は、小児の抗体産生が低いだけでなく接種量の問題も多々あるということで、日本の小児科医は接種量の変更(増量)をずっと申請してきました。それが今年ようやく認められ、やっと諸外国並みになりました。小児の摂取量が増えたことで予防効果が上がることを期待したいと思っています。
従来(昨年まで) |
今年から |
年齢 |
接種量 |
年齢 |
接種量 |
回数 |
6か月~1才 |
0.1ml |
6か月~3才未満 |
0.25ml |
2回 |
1才 ~6才 |
0.2ml |
3才以上 |
0.5ml |
3~13才未満:2回 |
6才~13才 |
0.3ml |
13才以上 |
0.5ml |
13才以上:
1回または2回 |
◆接種回数について:
接種回数についても話題になっています。今年のワクチンはA(H1N1)/A(H3N2)/Bの混合で、抗原は昨年と全く同じものなので、今まで2回接種が勧められていた小児の場合でも昨年ワクチン接種をした人は今年は1回で良いという論文(アメリカ・小児科学会・PEDIATRICS)が出ています。ただアメリカでは初めから接種量が多く(今年の日本と同じ)、ほとんどの小児は大人と同じ量を接種して来ているわけなので、昨年はごく少量しか接種できていない日本の小児にも同じ理屈が当てはまるかは疑問です。絶対に罹りたくない人は2回接種が安心でしょう。ちなみに当院スタッフは毎年2回、春になっても流行が終わらない年は4月に3回目まで接種したりしています。
参考文献:PEDIATRICS Vol.128 Num.4,Octover2011