なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

なんり小児科ニュースレター2010年6月号


【いま流行っている病気は??】
 
福岡県医師会による感染症発生状況(第20週=H22.5.17~5.23)
定点における患者数
報告数
前週比
1定点当たりの患者数
福岡県
全国
感染性胃腸炎
981
97%
8.18
8.19
水痘
326
78
2.72
2.42
流行性耳下腺炎
199
97
1.66
1.36
A群溶連菌咽頭炎
193
90
1.61
1.66
ヘルパンギーナ
177
113
1.48
0.36
咽頭結膜熱(アデノ)
46
131
0.38
0.25
 
 
先月に引き続き、感染性胃腸炎が最も流行していますが、その他にも、ウイルスや細菌による、のどの病気が増えてきました。特に溶連菌感染症は、家族内感染も多く、治療を怠ると何度も感染を繰り返す厄介な病気です。今月は、溶連菌感染症やヘルパンギーナ、アデノウイルスなどの喉の病気について取り上げます。
 



【溶連菌感染症】
A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)の感染によって起こります。かつては「猩紅熱」と呼ばれ法定伝染病に指定されて隔離治療されてましたが、今は抗生物質による治療で完治します。但し、きょうだい児や大人にも感染しやすいので注意が必要です。

■症状:
強い喉の痛みと急な発熱(38~40度・2~4日)、イチゴ舌(舌がいちごのように赤く、ブツブツになる)。そして、発熱後に全身(首や胸、手首や足首など)に赤く細かい発疹が出るのが特徴ですが、今は迅速検査のおかげで早期診断・早期治療が可能になり、発疹の出る人は少なくなりました。

■治療:
抗生物質を2週間服用します。症状が治まったからといって服用をやめると、再発したり、腎炎やリウマチ熱を合併することがありますので、きっちりと飲むことが大切です。また、合併症が出ていないか尿検査や診察を行います。治療スケジュールをお渡ししますので、それに基づいてしっかり治療しましょう。
(詳しくお知りになりたい方は、ニュースレターNO.13(2006年9月号)をご覧ください。)
 



【ヘルパンギーナ】
コクサッキーやエコーウイルスなどのエンテロウイルスが原因になる夏かぜの一種です。

■症状:
突然の高熱(39~40度・1~4日)と咽頭痛が最大の特徴です。
咽頭痛は、のどの奥に白くて小さな水泡がいくつもできて、飲食のときにしみて痛いので、塩味や酸っぱいものを嫌がったりする様子が見られます。

■治療:
特効薬はありません。熱へは解熱剤を処方します。
発熱やのどの痛みで食べなくなるので、水分補給が重要です。通常は合併症や後遺症もなく、一週間以内に治りますが、ごくまれに髄膜炎を合併することがあります。発熱、頭痛、嘔吐がひどいときは早めに受診してください。




【咽頭結膜熱(プール熱・アデノウイルス)】 
アデノウイルスの感染によって起こる病気です。毎年6月頃から増加、7~8月に最も流行。学校等でプールの水を介して伝染することがある為「プール熱」と呼ばれることもあります。

■症状:
高熱(38~40度・5~7日前後)と、のどの痛み、そして目の充血が見られることもあります。頭痛や鼻水を伴ったり、胃腸炎になって腹痛・下痢を伴うこともあります。

■治療:
特効薬はありません。熱へは解熱剤、目の炎症には目薬などの対症療法です。



参照・引用文献:赤ちゃんの病気全百科(学研)・福岡県医師会HP