なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

ニュースレター2010年4月号:肺炎球菌ワクチン

【 肺炎球菌ワクチンとは? 】
 
肺炎球菌ワクチンが、2010年春、ようやく日本でも接種できるようになりました!

◆肺炎球菌によっておこる病気: 
肺炎球菌が引き起こす病気は、細菌性髄膜炎や敗血症、肺炎、中耳炎、副鼻腔炎などで、特に小さい子ども達は繰り返し中耳炎、副鼻腔炎をおこします。

一番怖いのは、細菌性髄膜炎で、脳やせき髄をおおっている髄膜に菌が侵入して炎症を引き起こし、日本では毎年約200人の子どもが肺炎球菌による髄膜炎にかかり、そのうちの約三分の一が死亡したり、重い後遺症が残ったりしています。
従来は、ペニシリン系の抗生物質がよく効いていましたが、近年、耐性菌が急激に増え(抗生物質が効かないため)、治療に苦慮しています。

◆肺炎球菌ワクチンの効果: 
2000年から定期接種にしているアメリカでは、ワクチンで予防できる肺炎球菌による重い感染症が94%減少しています。また、子どもの感染を予防することで、その子と同居している成人や高齢者への感染も間接的に予防できることが認められています。
現在、世界の約100カ国で接種され、うち43カ国では定期接種されています。



【 肺炎球菌ワクチンの接種スケジュール 】
  
◆接種時期: 生後2か月~9歳  
肺炎球菌による髄膜炎の約半数が0歳代でかかります。なるべく早く接種しましょう。
◆接種回数: 計4回                                    
生後2カ月から6カ月にかけて3回(各々27日間以上の間隔)、12~15ヶ月に4回目(追加接種)をします。

接種開始時期
初回
追加
接種スケジュール
標準
生後2~6か月
3回
1回
27日以上の間隔で3回接種を行い、生後12~15か月頃に1回追加接種
接種開始が遅れた場合
生後7~11か月
2回
1回
27日以上の間隔で2回接種を行い、生後12か月を過ぎてから1回追加接種
1歳
2回
60日以上の間隔で2回接種
2歳~9歳
1回
 

一番効率的でお勧めの接種スケジュールは、定期接種の3種混合(DPT)と同じ日に接種することです。また、肺炎球菌ワクチンと3種混合とヒブ(Hib)ワクチンも、同時接種することできます。価格と入手の問題がなければ、これが一番お勧めです。                          

★ご希望の方は受付に予約をお願いします(電話予約も可)。 
(肺炎球菌ワクチンは10、000円/1回です)
⇒⇒2011年3月1日より無料で受けられるようになりました!
福岡市民にかぎり、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンが、生後2か月~4歳の乳幼児を対象に、公費助成により無料で接種できるようになりました。期限は、平成24年3月31日までの一年間です。お早めにご予約ください。



【  肺炎球菌ワクチンとヒブ(Hib)ワクチンについて 】
 
 小児期の重篤な細菌感染症である細菌性髄膜炎の発症を効果的に予防するためには、Hibワクチンと肺炎球菌ワクチンの両方の接種が重要です。
 アメリカでは、Hibワクチンと肺炎球菌ワクチンの両方が既に何年も前から定期接種となっており、日本の予防接種体制は、世界標準にはるかに及ばないのが実情です。そのため、Hibと肺炎球菌のワクチンを“細菌性髄膜炎の予防ワクチンセット“として、その必要性をもっと伝えていく必要があると言われています。

 また、より効率的にワクチンを接種するには、生後3~6ヶ月の間に行われる3回の三種混合(DPT)ワクチンと同じ日に、ヒブ(Hib)、肺炎球菌、DPT(三種混合)の3本のワクチンを同時接種するのが一番いい方法です。
 しかし、やはり問題なのはワクチンの価格で、現政権の厚労省は、予防接種金額の助成に付いて前向きに検討する方針ですが、現時点では具体案が出ていません。
 


参照・引用文献:日本医師会雑誌第平成21年7月138巻第4号・子どもの肺炎球菌ワクチン