なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

ニュースレター2010年3月号:子宮頸がんワクチン

【 子宮頸がんワクチンが日本でも接種可能になりました! 】
 
国内で年間約3500人の女性の死因となっている子宮頸(けい)がんを予防するピトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが2009年10月、日本でもようやく承認され、接種できるようになりました。
 
◆子宮頸がんの原因:
ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスへの感染が原因
皮膚と皮膚(粘膜)の接触(主に性交渉)によって感染し、女性の約80%が一生に一度は感染していると報告がある程ありふれたウイルスですが、多くの場合感染しても一時的で自然に排除されます。しかし、感染した状態が長い間続くと、数年~十数年かけて子宮頸がんを発症することがあり、初期の段階ではほとんど自覚症状がない為、発見が遅れる傾向にあります。
 
◆子宮頸がんの発症率とワクチン:
女性のがんとしては乳がんに次いで2番目に多いのですが、現在20~30代で急増しており、その年代では発症率第1位のがんです。ワクチンによる予防手段があるため「予防できる唯一のがん」と言われ、有効性は10~20年継続するといわれます。現在日本で承認されている子宮頸がん予防ワクチン(サーバリックス)は、子宮頸がんの多くの原因となる発がん性HPV16型、18型の感染を予防するワクチンです。
 
 
【 子宮頸がんワクチンの接種時期とスケジュール 】  
 
◆接種回数:
3回 (接種1回目の1ヶ月後に2回目、6ヶ月後に3回目)                                    
十分な予防効果を得るためには合計3回の接種が必要です。
※数年後の追加接種が必要かどうかは学術的に検討中です。

 
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◆効果的な接種時期:
11歳~14歳が優先 (15歳~45歳まで推奨)               
 
日本では、接種対象は10歳以上の女性で、年齢の上限は設定されていませんが、高い年齢での効果は実証されていません。子宮頸がんの発症は20代以降に多いのですが、発がん性HPVに感染してから発症まで数年~十数年かかる為、ウイルスに感染する前の10代前半でのワクチン接種が重要です。                 

◎ご希望の方はご予約ください。
価格は1回あたり16,000円です。
※欧州や豪州、カナダなど26カ国では全額公費負担または補助が行われており、接種率が9割にのぼる国もありますが、日本では、接種費用助成について未だ「早期実現へ検討」としているのみで具体案は出ていないのが現状です。
⇒⇒⇒2011年3月1日より無料で受けられるようになりました!
福岡市民にかぎり、中学1年生~高校1年生女子を対象に、公費助成により無料で接種できるようになりました。
 
 
【 子宮頸がんワクチンの効果と子宮頸がん検診について 】

子宮頸がん予防ワクチンは、感染前のワクチン接種によって、子宮頸がんの原因の約7割を占めるHPVの感染予防が期待できます。ただし、全ての発がん性HPVの感染を防ぐことはできませんし、接種時に既に発がん性HPVに感染している人に対して、ウイルスを排除したり、がんの進行を遅らせたり、治癒させるものではありません。そのため、感染する前の10代前半でのワクチン接種が重要です。
 
また、ワクチン接種後も、すべての発がん性HPVによる病変が防げるわけではないので、早期発見するためには子宮頸がん検診の受診がとても大事です。(南里)                                                 
 

 
参照・引用文献:子宮頸がん啓発のための学術情報冊子「HPVInsights」第4号・子宮頸がんとサーバリックスについて・北九州市医報vol.631