なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

ニュースレター2007年11月 タミフルの効果と副作用

■タミフルの効果は?
タミフルは、インフルエンザA型とB型両方のウィルスに効果のあるインフルエンザの治療薬です。
タミフルの効果で統計学的に証明されているものは、「熱が出ている期間を1日程度短くする」というものですが、臨床的には、熱の期間も症状もたちまち軽くなるという印象があります。 ただし、ウィルスそのものを退治する薬ではなく、ウィルスの増殖を防ぐ薬なので、ウィルスが増殖しきってしまう前、つまり48時間以内に服用しなければ効果がありません。
また、新型インフルエンザにも有効であると考えられているため、その流行に備えて各国でタミフルの備蓄がされており、日本でも2500万人分の備蓄が国と地方自治体によって進められています。


■タミフルの副作用って?
タミフルの副作用で頻度の高いものは、腹痛(6.8%)・下痢(5.5%)・嘔気(3.9%)などですが、まれに、肝機能障害・ショック症状・肺炎・急性腎不全(全て頻度不明)などがあります。

昨年話題になった異常行動については、2007年6月の厚生労働省の発表によると、01年から2007年5月末までの累計で1377人、そのうち服用後の異常行動は211人、死亡は71人(異常行動による死亡8人、突然死43人)です。
異常行動を起こした事例を年代別でみると、10歳未満が28%、10~19歳が53.1%で、19歳未満での事例が81.1%と大半を占めます。
そのうち10歳代の異常行動による死亡は5人で、それをうけて、2007年3月20日以降、タミフルの使用が「原則的に10代には使用禁止」とされました。
そして、厚生労働省の指示(2007年3月20日)により、薬剤添付文書の警告欄に追加記載されました(下記参照)。
それ故、タミフルの処方に関しては10代だけでなくその他の年代の方々に対しても慎重に考える必要があります。  
                          
(添付文書の警告欄に追加された内容)
「10歳以上の未成年者においては、因果関係は不明であ
るものの、タミフル服用後に異常行動が出現し、転落等の事故に至った例が報告されている。
このため、10歳代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則としてタミフルの使用を控えること。
また、小児・未成年者については、万一の事故防止策として、タミフルによる治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)保護者は少なくとも2日間、子どもが一人にならないよう患者・家族に説明をすること。なお、インフルエンザ脳症等によっても、異常行動が現れるとの報告もあるので、同様の説明をすること。」 

■異常行動の原因は、タミフル? 高熱? それともインフルエンザ脳症?
インフルエンザにおいては、実はタミフルを服用していなくても、高熱による熱せん妄や脳炎・脳症の場合に異常行動が見られます。実際のところ、タミフルと異常行動との直接的な因果関係は未だ証明されていません。しかし、脳炎・脳症は6歳未満の乳幼児に多いという事実に反して、昨年10代での異常行動による死亡が5人も出たために、その年代でのタミフル投与が取り急ぎ禁止されたという事情があります。
異常行動の原因がなんであれ大切なことは、インフルエンザにかかったら少なくとも2日間はお子さんから目を離さず、しっかり付き添ってあげることです。

そしてそれ以前に大事なことは、インフルエンザにかからないようにすることです!!

①予防接種を受けておく 
②人混みを避ける 
③うがい・手洗いをする 
④加湿器等で湿度を保つ

みなさん、インフルエンザ予防にしっかり努めましょう!