【 感染性胃腸炎とは? 】
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌、寄生虫などさまざまな病原体による感染症です。
冬~春に流行する感染性胃腸炎は、ノロ・ロタ(まれにアデノ)ウイルスによるものがほとんどです。
【 ロタウイルスの特徴 】
ロタウイルスは、ウイルス性胃腸炎の中で最も強力で、嘔吐で始まり、発熱(半日~2日程度の期間)や腹痛の後、下痢が始まります。特に乳幼児では、嘔吐・下痢・発熱の3症状が揃って現れ、脱水症状を呈し、重症化する例もあるので注意が必要です。
潜伏期間は、2~3日です。
米のとぎ汁のような白色下痢便が最大の特徴です。
(白色の他にも、白っぽい黄・緑・茶色、うすい黄・茶色の場合もあります。)
★便で迅速検査ができます。下痢が続く場合は、オムツをそのままお持ち下さい。
受付の際に提出して頂ければ、診療の前に検査ができます。
【 ノロウイルスの特徴 】
毎年冬のはじめ頃から流行するノロウィルスによる感染性胃腸炎(嘔吐・下痢)です。
ノロウィルスは、小型球形ウィルス(SRSV)の一種で、1986年アメリカ・オハイオ州・ノーウォークの小学校で集団発生した胃腸炎の患児から発見されました。人の腸の粘膜表面の繊毛をはがしてしまうため、栄養や水分の吸収が悪くなり、下痢を起こします。
便や吐しゃ物の中のウィルス粒子が手指や衣服などに付き食品などを介しての経口感染や、乾いた吐物からウィルスが発散するための空気感染もあるので、看護する人や周りの人も注意が必要です。
ノロウイルスの主な症状は、吐気、嘔吐、下痢です。
ロタウイルスよりも軽症のことが多いのですが、乳児・高齢者では、脱水症状を呈することがあるので注意が必要です。
潜伏期間は1~2日です。感染力が強く、少量のウィルスでも症状を引き起こします。
【 流行しやすい時期 】
秋~年末にかけてノロウイルス、年明けから春(1月~4月)にかけてロタウイルスが流行します。
ロタウイルスは、生後6ヶ月から2歳の乳幼児に多くみられ、保育園・幼稚園・小学校などでの集団発生がみられます。
【 感染経路 】
ウイルスが口から入ることにより感染しますが、食物や水に含まれるウイルスだけでなく、患者の便や吐物に含まれるウイルスによる汚染や空気中に舞い上がったウイルスを含む飛沫を介した二次的な感染があります。
ノロの場合は、症状が消えた後も3~4日(長い場合1~2週間)も便にウイルスが排出されるので、感染予防上の注意が必要です。
【 治療方法 】
ウイルスへの薬はなく、吐き気止め、下痢止めなどの対症療法しかありません。
脱水に陥らないよう、水分を多くとることが大事ですが、一度に沢山飲むと、吐き下しが悪化します。食べる・飲むという行為は病んでいる胃腸に働いてもらうということですので、少しずつ仕事をさせることがコツです。
→→(イオン水・消化に良いものをチビチビと与えましょう。パクパク・ゴクゴクはダメです。)
【 予防法 】
◎手洗いとうがいを心がけましょう。
(排便後、患者の看病後、調理前、食事前、帰宅後等)
◎吐物、オムツ等の処理に注意しましょう。
ビニール手袋やマスク等を使用して処理し、汚染された場所は消毒(漂白剤)してください。その際、70%アルコールでも完全な消毒はできないため、塩素系消毒剤(ハイター等)で処理するか、85℃1分以上加熱消毒する必要があります。