なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

麻疹(はしか)について

【 はしかってどんな病気? 】

2007年の春夏にかけて、南関東地域で子どもだけでなく、成人の麻疹患者の報告が増加し、今後更に進行する可能性が高いと報道されました。患者さんの多くは麻疹ワクチンを1回だけ接種した方で、抗体が落ちている方々です。 日本ではやっと2006年から年長児にMR(麻疹・風疹混合)ワクチンの2回目の接種が行われるようになりましたが、それ以前はずっと1回接種でした。そのため今回、麻疹患者が多発したと考えられています。先進国では既にずっと前からMMRワクチン(麻疹・おたふくかぜ・風疹)という形で2回3回と行われており、麻疹発症はほとんどありません。 

麻疹は古来日本では、「命定め」の病気といわれるほど症状が重く、感染力も非常に強い感染症なのです。
感染経路は鼻汁・咳からの直接の飛沫感染や麻疹ウイルスの室内に残存するための空気感染です。



【 症状 】

全経過:潜伏期(10~12日)・カタル期・発疹期・回復期
◆カタル期(3~4日):
38度前後の発熱・咳・鼻水・結膜充血・眼脂がみられる。カタル期の後半から終わりごろに周囲に発赤を伴う灰白色の小斑点(コプリック斑)が現れます。
◆発疹期(4~5日):
一時体温が低下したのち、再び高熱となると共に、赤い小さな斑状発疹が耳後部・顔面から出始めて、次第に下方へと広がる。発疹は互いに癒合して、地図状となることもあります。
◆回復期(3~4日):
発疹の色があせてくると解熱し、色素沈着(=微小血管の出血)他の発疹賞にない大きな特徴を残して消退し、全身状態も次第に回復しますが、身体の免疫状態は1ヶ月ぐらいは落ちているので注意が必要です。



【 合併症 】

麻疹罹患後は、免疫機能が低下するために、重症合併症を引き起こしやすく、中耳炎・肺炎がしばしばあります。脳炎は麻疹患者のほぼ0.1%、死亡率は15%、後遺症が25%に残り、とても重症です。
まれに起こるSSPE(亜急性硬化性全脳炎)は悲惨な合併症です。



【 治療 】


麻疹患者と接触して24時間以内なら、ワクチン効果が期待できます。 それ以上たっていても、γーグロブリン注射で軽症にすることができます。発症してしまったら、対症療法しかなく、合併症の予防も困難です。かからないためにはワクチン接種しかありません。年長児(来年1年生になる方)はMR(麻疹風疹混合)ワクチン第二期を接種しましょう。 もうすぐ1歳になる赤ちゃんは、1歳のお誕生日プレゼントにMRワクチン第一期を接種しましょう。 麻疹ワクチンを接種してない人や、1回しか接種しておらず今後も追加接種の対象にはならない方も、お金はかかりますがMRワクチンの追加接種をお勧めします。
なお、麻疹単独のワクチンは、入手が非常に難しい状況が続いているため、当院では取り扱っておりません。
風疹単独で受けた方も、一回では抗体が下がっていることが多いので、麻疹風疹混合(MR)ワクチンをお勧めします。