なんり小児科クリニック

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インフルエンザ治療薬(タミフル・ゾフルーザ・リレンザ・イナビル・ラピアクタ)の違い・副作用・処方について

【 インフルエンザ治療薬について 】

インフルエンザ治療薬には、以下の5種類があります。

◆タミフル(リン酸オセルタミビル)
内服薬、1日2回5日間の内服 
体重により粉末とカプセルを考慮します。最も早く開発されたインフルエンザ治療薬で、世界で最も多く処方されているため異常行動の報告も多く、耐性ウイルスも出ています。

新薬ゾフルーザ(バロキサビルマルボキシル):内服薬、現在は錠剤のみ一回の内服タミフルと同等の効果が期待できる最新の開発薬で、2018年より販売されました。20kg未満・20~40㎏・40~80㎏・80kg以上で異なる処方量が設定されています。タミフルとはウイルスへの作用機序が異なるため、タミフル耐性ウイルスにも効果が期待されています。発売から期間が短いため未だ処方例数が少なく副作用なども良く分かっていません。当院では処方ご希望の方には経過(効果・副作用なども)報告をいただくようにお願いしています。

◆リレンザ(ザナミビル): 吸入薬、1日2回5日間吸入して使う薬です。5歳以上の小児は成人と同量、5歳以下は半量です。ただ、子どもは上手に吸入できる年でなければ効果が不確実なことがあります。又、吸入薬の為気管支喘息等呼吸器に問題のある方は発作を誘発することがあります。

◆イナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物): 吸入薬、1回の吸入でタミフル・リレンザの5日分の効果が期待できると言われています。10歳未満は1吸入1回、10歳以上は2吸入1回=成人と同量、を使用します。1回だけのチャンスですから、確実に吸入しなければ効果が少ないことが考えられますので、吸入は薬局にて薬剤師指導の下に行います。また、リレンザ同様に呼吸器に問題のある人は発作を誘発することがあります。

◆ラピアクタ(ペラミビル水和物 ): 点滴薬、1回の点滴でタミフル5日分(2錠×5日分)とほぼ同等の治療効果があると言われています。薬を飲むのを嫌がり、脱水などで点滴が必要なお子さんには有効かもしれません。1回分を15分以上かけて点滴します。重症の場合は連日投与も可能です(2回まで)。



【 インフルエンザ治療薬の副作用について 】

副作用で頻度の高いものは、腹痛(6.8%)・下痢(55%)・嘔気(3.9%)などですが、まれに、 肝機能障害・ショック症状・肺炎・急性腎不全 (全て頻度不明)などがあります。最も重要視されたのは、前述の異常行動です(使用量の多いタミフルが最多でした)。今日まで様々な治療薬が開発されましたが、多少の異常行動があっても転落事故はなくなり、時間が過ぎれば全く正常に快復しています。保護者の皆様が理解されて、インフルエンザのお子さんを一人にしておくことが減り、最近の副作用の報告は激減しています。



【 インフルエンザ治療薬の処方について 】

◆ワクチン未接種の場合
重くなる可能性もありますし、乳幼児なら合併症 (脳症・脳炎・肺炎・中耳炎)の危険もあります。小さいお子さんの場合何らかの異常行動が起こっても抱きとめることが可能です。解熱までの最低2日間しっかり付き添って下さい。治療薬なしで重症化・合併症を招くよりも治療薬を使ってそれらのリスクを未然に防ぐほうがよいと考えています。

◆ワクチン接種済みの場合

個人差はありますが、ワクチンをしていれば発熱・痛みなども軽症ですむことが多いようです。
治療薬で早期に解熱したからと言って、ウイルス排泄までもすぐになくなるわけではありませんが、人にうつす期間はいくらか短くなるので、早めに社会や学校に復帰できるというメリットはあります。受験生や重症化する可能性のある病気を持っている方は、特に早期診断・早期治療の為に早めに受診下さい。最近は迅速診断キットも改良され、早期に陽性が判明する方も多くなりました。

◆ウイルス排泄を短期間に抑え込むためにインフルエンザ治療薬を積極的に処方しています。
ただし、治療開始後の事故防止対策として、保護者の方は次のことにご配慮ください。
異常行動の発現のおそれがあるのは少なくとも2日間です
この間、保護者の方はたとえ大きいお子さんでもしっかり付き添って一人にならないようにご配慮ください。
※治療の有無にかかわらずインフルエンザ初期に、異常行動が出現することがあります。
 治療薬を服用していなくても、最低2日間はしっかり付き添ってください。
※異常行動が見られた場合は、後日でもお知らせください。



2019年1月29日更新 なんり小児科クリニック 南里月美