なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

ニュースレター2012年7月号:風疹について

【 いま流行っている病気は? 】
 
 6月始めから梅雨入りして毎日蒸し暑い日が続いています。雨が続くとうっとおしい気もしますが、お花や木は喜んでいることでしょう。台風も発生しますがたいていは東に抜けて行っていつも福岡は大したことないですね(私は鹿児島生まれ、台風が発生したらほとんどまともに来ていました)。
 アデノウイルスや夏のエンテロウイルスによる感染性胃腸炎が増え、ヘルパンギーナの発症が急に増加しています。急な高熱・のどの痛みが出たら溶連菌かヘルパンギーナか?と思います。アデノウイルスの咽頭結膜熱(プール熱)もそこそこ、手足口病はまだ流行というほどは無いようですがこれからでしょう。あせも・虫刺され・とびひ等、皮膚の病気がそろそろ増えて来ました。戸外では風通しの良い綿素材の長そで・長ズボンで過ごしましょう。
 
福岡県医師会による感染症発生状況 (第25週H246.18~6.24)
病名 報告数 前週比 1定点当たりの患者数
福岡県 全国
感染性胃腸炎 725 104 6.04 7.37
ヘルパンギーナ 313 140% 2.61 0.88
A群溶連菌咽頭炎 286 110 2.38 2.63
水痘 159 74 1.33 1.41
流行性耳下腺炎 123 116 0.87 0.49
咽頭結膜熱 98   80 0.82 0.56
手足口病 21 +3 0.18 0.35
 
 
 
【 風疹発症に注意: 関東大阪で成人女子・成人男子に増えています 】
 
風疹が昨年の同じ時期よりも約2倍多く報告されています。今年に入ってからの患者数は6月までで全国396人で、すでに昨年一年間の合計を超える勢いです(23年369人;22年89人;21年147人;20年294人)。都道府県別の合計では、兵庫121人、大阪102人、東京45人で、約7割が20~40代男性、この世代の男性は予防接種をしていない人が多く免疫がないためと考えられます。
 
 
 
【 風疹とはどんな病気? 】  
 
 風疹ウイルスによっておこる急性の発疹性感染症です。
 主な症状は発熱・発疹・目の充血・リンパ節の腫れで、潜伏期間は2~3週間(平均16~18日)。小さく赤い発疹が全身に広がりますが(発疹初日は首・顔・胸腹部・背中で徐々に腕・腿に移り3日目には体は消えて手足に)、3~5日で消え、あとは残りません。発熱は38度前後で3日前後、熱が出ない場合もあり、発熱と発疹は同時か、遅れても発熱後半日くらいで発疹が出現します。
 飛沫感染で、咳や鼻水などのしぶきを介してうつります。一度かかれば、ほぼ一生免疫が続きます。
 子どもでは比較的軽いことが多いとはいえ、まれに脳炎、血小板減少性紫斑病などの合併症が起こることもあります。大人では症状が長引き関節炎を起こすことも多く、また、妊娠初期の妊婦が感染すると、胎児が難聴・白内障・心臓病・精神発達遅滞などの先天性風疹症候群を発症することがあり、このため、女性は妊娠する前に風疹免疫があるか調べておくことが大事です。
 
 
 
【 大事な風疹の予防接種 】
 
 先天性風疹症候群の赤ちゃんを生まないために、免疫の無い妊婦にうつさないようまわりの家族が予防することが大切です(妊娠してしまうと妊婦の風疹予防接種は禁忌)。
 国立感染症研究所は、麻疹ワクチンを1歳以上で2回受けたことのない妊婦の家族には風疹・麻疹予防の観点から、MRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)の接種を勧めています。また、「予防接種の記録がなく風疹罹患の記憶が曖昧な場合、男女とも可能な限り早く風疹の予防接種を受ける」「時間がない場合には予防接種前の抗体検査は必ずしも必要なく、再度予防接種を受けても問題がない」とのことです。
 
 
 

参考・引用文献&ホームページ;
国立感染症研究所ホームページ 風疹Q&A http://www.nih.go.jp/niid/ja/rubellaqa.html 
福岡県医師会ホームページ  https://www.fukuoka.med.or.jp/ 
ベッドサイドの小児の診かた(南山堂)