なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

ニュースレター2008年9月号:腸重積症

【 腸重積症とは?】
腸重積症は、腸の一部が腸の中に望遠鏡の筒のようにたくし込まれた状態になり、腸の通りがわるくなる病気です。生後4ヶ月~1歳ぐらいの乳幼児に好発し、男児に多くみられる傾向があります。原因の多くは不明ですが、ウイルス感染によるかぜ様症状や急性胃腸炎などがきっかけになる場合が多いようです。 それまで元気で機嫌もよかった赤ちゃんが、突然不機嫌になってぐずり、激しく泣いて吐き出すのが発症のサインです。この病気は一刻を争う処置を要する緊急の疾患であり、早期に発見し受診することが大事です! 重積が発生する部位は、回腸(小腸の後半部分)が大腸のはじまり(結腸)のところに入りこむ回腸結腸型と盲腸もまきこんだ回腸盲腸型を含めた、回盲部重積症がもっとも多くみられます。
 

【 症状 】                      
1.間欠的な腹痛発作 
腹痛のために、急に火がついたように泣きだし、少しすると急におさまる。この「泣く・おさまる」を、5~30分間隔で繰り返し、次第にぐったりしてきます。この状態は、まだ腸が重積したり戻ったりしているためだと考えられます。
2.腹痛
くりかえすうちに、吐物に黄色の胆汁がまじることもあり、しだいに顔色もわるくなります。
3.血便   
12時間以内に約60%みられます。もぐりこんだ腸が締めつけられ、腸粘膜が傷つきはがれて出血するため、 粘液まじりの「いちごゼリー」のような真赤な血便が排泄されるのが、この病気の特徴的なサインです。
診断を確定するために、浣腸を行って粘血便を確認することがあります。
(もし自宅で血便が出たら受診時に必ず持参しましょう!!)
 
 
【 治療 】
注腸整復(高圧浣腸)が行われます。これは肛門から腸内に空気やバリウム(造影剤)を入れ、X線で透視しながら腸の中に圧力をかけ、めりこんだ腸をゆっくり押し戻す方法です。80~90%のケースが元に戻りますが、発病から20~24時間以上経過している場合や、重積の程度がひどい場合は、腸管が壊死し穿孔する危険があるので開腹手術が行われます。開腹して、もぐりこんだ腸を肛門から空気やそっと手で戻していきますが、すでに腸の一部が壊死していればバリウムを入れてその部分を切除してつなげる手術を行います。                                    
 
★手術を回避するためには、家庭における腸重積の初期症状の発見と、早期受診がきわめて重要となります。
 
※引用文献:こどもの病気の地図帖・赤ちゃんの病気大全科・お母さんに伝えたい