なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

ニュースレター2010年11月号:インフルエンザとRSウイルス

【 いま流行している病気は? 】

福岡県医師会の感染症発生動向によると、感染性胃腸炎、水痘、伝染性紅斑(りんご病)、RSウイルス感染症、突発性発疹の順で流行しています。
インフルエンザの報告数は、10週前より、3→2→2→1→2→2→15→8→25→81→40→31という推移になっています。筑後地区からの報告が多く、インフルエンザA型の報告が大半です。
またインフルエンザの流行と前後して流行する傾向にあるRSウイルス感染症も増えています。
 
福岡県医師会による感染症発生状況(46週=H2211.15~11.21)
病名
報告数
前週比
患者数(定点あたり)
福岡県
全国
感染性胃腸炎
584
109%
4.87
3.05
水痘
144
114%
1.20
0.76
伝染性紅斑
132
102%
1.10
0.29
RSウイルス感染症
120
115%
1.00
0.34
突発性発疹
119
112%
0.99
0.56
インフレエンザ
31
78%
0.16
0.09


【 インフルエンザ 】

◆今年のインフルエンザの流行はどうなる?
 WHOが発表した最新のインフルエンザの流行状況(10/20)によると、流行の主流は、A型(H3N2香港型)となっています。35カ国から2,415のインフルエンザテスト陽性の検体が集められ、このうち89.7%はA型で、B型は10.3%でした。さらにA型の亜型を調べると、84.5%がH3N2香港型で、2009H1N1新型は15.5%にとどまっているとのことです。アメリカでは、今季はH3N2(香港型)の流行が多いと予測されています。日本でも、同じように流行するなら、昨年大流行した新型よりもA香港型が流行するのではと予測されます。
 
◆もし新型インフルエンザかもと思ったら?
新型インフルエンザは、去年の流行で、季節性インフルエンザと症状の重さがさほど変わらないことがわかりました。そのため今年は、新型インフルエンザの疑いで受診される際でも、昨年のような事前連絡は必要ありません。また完全隔離措置も致しません(通常の隔離室にご案内します)。ただし、呼吸器の持病のある方は、新型のほうが季節型より重症化しやすいと言われているので、注意が必要です。
 
◆症状の特徴:
インフルエンザは突然の高熱にはじまり、頭痛・腰痛・筋肉痛などの全身症状を伴い、鼻水・咳・咽頭痛がやや遅れて出現するのが特徴です。まれに脳炎・脳症などの重い合併症に発展することがあり、アスピリンなどの解熱剤は脳症を起こしやすくする可能性があるため、解熱剤はアセトアミノフェン(アンヒバやカロナールなど)が安全です。
 
◆予防: 
予防接種が有効で、かかったとしても軽症で済みます。今年のインフルエンザワクチンは、「新型(A型H1N1)」と
「季節型(A型H3N2香港型+B型」が一緒になった混合ワクチンですので、昨年のように2種類受ける必要はありません。
 


【 RSウイルス 】
 

◆流行時期:
毎年11月~3月にかけて流行します。インフルエンザの流行と前後するような流行が見られます。
 
◆感染経路・潜伏期: 
飛沫感染と接触感染によってうつります。とても感染力が強く、1歳までに半数以上、2歳までにほぼ100%の子どもが感染を受けます。そのため、乳幼児の多い保育園などで集団感染がみられます。潜伏期は2~8日(典型的には4~6日)です。一度感染しても免疫ができにくいため、何度も感染を繰り返して徐々に免疫ができ、軽症化していきます。
 
◆症状: 
鼻汁・咳・発熱等の上気道炎症状と細気管支炎・肺炎等の下気道炎症状が特徴です。2歳以下、特に6ヶ月未満の乳児では上気道炎から下気道炎に進展しやすく(幼児では20~50%以上)、入院治療が必要になることもあります。
※喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅーという咳)・陥没呼吸(肋間や胸骨の上部と下部がへこむような呼吸)・肩で呼吸する等の喘息の発作と同じような呼吸困難症状が見られる場合は危険信号なので、すぐに受診しましょう。
低出生体重児や生まれつき肺や心臓に基礎疾患をもつ乳幼児は特に重症化しやすいため注意が必要です。
 
◆治療: 
抗生物質は無効で、症状を和らげる治療(対症療法)が主体となります。解熱剤、鎮咳去痰剤や気管支拡張剤を用い、重症度に応じて、吸入、気管支拡張剤や酸素、輸液なども考慮します。