なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

ニュースレター2010年9月号:気管支喘息2

【いま流行している病気は?】
現在福岡県では、感染性胃腸炎、手足口病、おたふくかぜなど夏のウイルスによる病気が引き続き流行しています。また、今年は猛暑で冷房の使用頻度が高いせいか冷房機から撒き散らされるほこり・乾燥が原因と考えられる気管支喘息の患者さんが例年に比べ多いように見受けられます。今月は、先月に引き続き気管支喘息を、特に、喘息発作の特徴やご家庭での救急処置について詳しく取り上げます。
 
福岡県医師会による感染症発生状況(33週=H22.8.16~22)
定点における患者数
報告数
前週比
1定点当たりの患者数
福岡県
全国
感染性胃腸炎
486
125
4.05
2.40
手足口病
229
89
191
162
おたふくかぜ
143
119
1.19
1.13
りんご病
129
165
1.08
0.26
水痘
122
115
1.02
0.71
 


【喘息発作とは?】 
発作はその重さの順に3段階に分けられます。
 
小発作
ふつうに遊び、会話や食事をし、眠ってはいるものの、軽い喘鳴(ゼイゼイヒューヒューという呼吸)や咳がみられる。  
 
中発作
話しかければ返事はしますが、動きが悪く、食欲が落ち、夜中に何度か呼吸困難のために目をさます。喘鳴や陥没呼吸(※)がみられる。
※陥没呼吸=息を吸うときに肋間陥凹(肋骨と肋骨の間がくぼむ)・のどの下がへこむ・胸と胃の境の辺りがへこむ等が見られる呼吸のこと
 
大発作
動くどころではなく、話しかけても返事ができず、食事もできなくなり、夜は横になれず(起坐呼吸)、座り込んで小鼻をぴくぴくさせ、肩で呼吸する様子がみられる。陥没呼吸、呼吸困難が強く、顔色、唇の色も悪く、喘鳴音は逆に弱くなります。大変危険な状態です。
 
 
◎発作の起こりやすい時間と時期:
一日のうちでは、夕方から明け方にかけて起こる場合が多いです。特に、夜間の就寝後2~3時間してから起こることが多く、午前2~4時ぐらいがピークとなります。夜の発作は悪化しやすい傾向にあります。発作の起こりやすい時期は、季節の変わり目で、とくに9~10月がもっとも発作が多発します。
 

 
 
【ご家庭での救急処置について】 
 
基本的対処法
①楽な姿勢にさせる。
衣類はゆるめ、襟もとは広くあけ、座布団などで背もたれを作り座らせてあげてください。赤ちゃんは縦抱きにすると楽になります。
②安静にして、水分をこまめに与える。(水分が不足すると痰が固くなり痰が出にくくなります)
③腹式呼吸で深く息を吸い、しばらく息を止めて咳を誘発し、痰出しをする。
前かがみにして背中を叩いてあげたり、頭・胸を低くすると、痰が出やすくなります(右図参照)。
 
薬による対処法
予備として処方されている薬があれば、使いましょう。
 
痰を柔らかくする薬(内服)・気管支拡張剤(内服または貼付;○○テープ)
吸入薬(吸入器がある場合は、発作時に使用。必ず指示容量を守って使用すること。)
 
※以上の対処をしても夜に苦しくて何度も起きるときは、朝少し治まっていてもまず受診してください。その後、可能であれば登園・登校しましょう。また、唇や顔色が悪くなる・冷や汗がでる・ゼーゼーヒューヒューが逆に音が小さくなる・意識がもうろうとなる等の様子が見られれば、緊急に受診が必要です。                     
 
 
【発作予防のためにできること】
◎ぬいぐるみ・絨毯はやめ、ふとんに布団用ノズルで掃除機をかける。毛布は使わない。
◎毛のあるペット(犬・猫・小鳥)は飼わない。タバコはやめましょう。  
◎運動誘発喘息(ランニング等で喘息が誘発される場合)が起こるときは、運動前に薬や吸入剤で予防する。(南里)
 
 
 
参照文献HP:小児ぜんそくの正しい知識(南江堂ヘルスガイド)・子どもの喘息(監修古庄巻史)・小児気管支ぜんそく家庭でのケア(監修馬場実)・福岡県医師会HP