なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

なんり小児科ニュースレター2010年7月号

【いま流行っている病気は?】
 
 先月に引き続き、感染性胃腸炎、ついで水痘(水ぼうそう)の流行が見られます。
水痘は、毎年冬~春にかけて流行するウイルス性の感染症です。また、同じような発疹が見られる夏のウイルス性の病気としては、水いぼも見られます。今月はこの二つの病気についてご紹介します。
 
【福岡県医師会による感染症発生状況(第24週(H22.6.14~6.20)】
定点における患者数
報告数
前週比
1定点当たりの患者数
福岡県
全国
感染性胃腸炎
715
103%
5.96
6.69
水痘
349
75%
2.91
2.91
ヘルパンギーナ
282
92%
2.35
1.17
おたふくかぜ
209
120%
1.74
1.31
A型溶連菌咽頭炎
201
97%
1.68
1.97
 
 
 
 
【水痘(水ぼうそう)】
 
◆原因:
水痘帯状疱疹ウイルス(HSV)に感染することで起こります。潜伏期間2週間
◆症状:かゆい虫さされのような発疹(丘疹)がおなかや背中にできるのがはじまりで、しだいに全身(頭の中や陰部・時に口の中)に広がります。発疹は、12~24時間後には、丘疹から、うすい皮の水疱となり、やがて、乾いて黒いかさぶたになります。
 
◆治療:
発疹早期に抗ウイルス薬を服用すると軽く済みます。
 
◆登園登校:
全ての水疱が乾き、黒いかさぶたになるまで伝染力がありますので、最後の一個が枯れるまで出席停止です(通常1週間~10日。抗ウイルス薬を内服すると約5日間)。
 
◆予防:
水痘ワクチンが有効です。
水痘は、水疱のかゆみが長く続き子供にとって負担のかかる病気です。時に重症化し、肺炎・脳炎を起こすこともあります。特に大きくなって罹ると重症化することが多く、コストの問題を除けば、是非ともお勧めしたいワクチンです。1回接種しても稀に罹ることもありますが軽症ですみます。
 
 
 
 
【水いぼ(伝染性軟属腫)】
 
◆原因:
伝染性軟属腫ウイルスが原因でできる小さな良性の皮膚腫瘍です。皮膚同士が接触したり、水・タオルなどを介して感染することがあるため、保育園や幼稚園、プールなどで集団感染することもあります。
 
◆症状:
皮膚と同じ色をした1~3mm程度のつるっとした半円球のいぼです。先端につやがあり、中には白い芯があります。水ぶくれのようにつぶすと中からウイルスを含んだ小さな塊が出てきます。わきの下、脇腹などこすれやすいところが好発部位です。乾燥して弱った皮膚に水いぼができると、かゆくなり、掻き広げて次々に数が増えてしまいます。掻き壊して細菌が感染すると、とびひを併発することもあるので注意が必要です。
 
◆治療:
①自然治癒するのを待つ・・・放っておいても80%以上の子供が半年~2年位で自然に治ります。ただし、数が増えてきたり、アトピー性皮膚炎・乾燥肌である場合は重症化しやすく、低年齢の兄弟がいる場合はうつりやすいので、特にプールの季節の前には取っておいたほうが良いでしょう。
②つまんでとる(★ペンレステープを使うと痛みが軽く済みます)・・・一番短期間で治す方法です。
自宅でペンレステープ(局所麻酔薬のテープ)を貼って頂いて、2~4時間の間に病院にて処置すれば、痛みなくとることができます。待ち時間等を考慮した上で、受診されることをお勧めします。外来が少ない時間に来て頂くと有難いです。
★ペンレステープは受付にて購入できます(1シート50円:小さくいぼの大きさに合わせて切り貼りして使用します)。
 
◆予防:
タオルなどの物を介しても感染するので、一人一人別のものを使いましょう。