なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

なんり小児科ニュースレター2010年5月号

【いま流行っている病気は?】

4月から保育園・幼稚園・学校がはじまったせいもあり、感染性の胃腸炎(ロタウイルス・ノロウイルスなど)が最も流行しています。それ以外にも、水痘、溶連菌感染症、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)など、ウイルスによる病気が増えてます。
今月は、感染性胃腸炎(ノロ・ロタウイルス)についてとりあげます。

福岡県医師会による感染症発生状況(第16週=H22.4.19~4.25)
定点における患者数
報告数
前週比
1定点当たりの患者数
福岡県
全国
感染性胃腸炎
1381
102
11.51
8.99
水痘
293
99
2.44
1.65
A群溶連菌咽頭炎
209
130
1.74
1.36
流行性耳下腺炎
170
104
1.42
1.12
突発性発疹
111
96
0.93
0.61
  


【感染性胃腸炎とは?】

 
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌、寄生虫などさまざまな病原体による感染症です。 
冬~春に流行する感染性胃腸炎は、ノロ・ロタ(まれにアデノ)ウイルスによるものがほとんどです。


【ロタウイルスの特徴】
 
ロタウイルスは、ウイルス性胃腸炎の中で最も強力で、嘔吐で始まり、発熱(半日~2日程度の期間)や腹痛の後、下痢が始まります。特に乳幼児では、嘔吐・下痢・発熱の3症状が揃って現れ、脱水症状を呈し、
重症化する例もあるので注意が必要です。
潜伏期間は、2~3日です。
米のとぎ汁のような白色下痢便が最大の特徴です。
(白色の他にも、白っぽい黄・緑・茶色、うすい黄・茶色の場合もあります。)

★便で迅速検査ができます。下痢が続く場合は、オムツをそのままお持ち下さい。
受付の際に提出して頂ければ、診療の前に検査ができます。


【ノロウイルスの特徴】
 
ノロウイルスの主な症状は、吐気、嘔吐、下痢です。
ロタウイルスよりも軽症のことが多いのですが、乳児・高齢者では、脱水症状を呈することがあるので注意が必要です。
潜伏期間は1~2日です。
 


【流行しやすい時期】

秋~年末にかけてノロウイルス、年明けから春(1月~4月)にかけてロタウイルスが流行します。
ロタウイルスは、生後6ヶ月から2歳の乳幼児に多くみられ、保育園・幼稚園・小学校などでの集団発生がみられます。


【感染経路】

ウイルスが口から入ることにより感染しますが、食物や水に含まれるウイルスだけでなく、患者の便や吐物に含まれるウイルスによる汚染や空気中に舞い上がったウイルスを含む飛沫を介した二次的な感染があります。ノロの場合は、症状が消えた後も3~4日(長い場合1~2週間)も便にウイルスが排出されるので、感染予防上の注意が必要です。


【治療方法】

ウイルスへの薬はなく、吐き気止め、下痢止めなどの対症療法しかありません。
脱水に陥らないよう、水分を多くとることが大事ですが、一度に沢山飲むと、吐き下しが悪化します。食べる・飲むという行為は病んでいる胃腸に働いてもらうということですので、少しずつ仕事をさせることがコツです。
→→(イオン水・消化に良いものをチビチビと与えましょう。パクパク・ゴクゴクはダメです。)



【予防法】

◎手洗いとうがいを心がけましょう。
(排便後、患者の看病後、調理前、食事前、帰宅後等)

◎吐物、オムツ等の処理に注意しましょう。
ビニール手袋やマスク等を使用して処理し、汚染された場所は消毒(漂白剤)してください。その際、70%アルコールでも完全な消毒はできないため、塩素系消毒剤(ハイター等)で処理するか、85℃1分以上加熱消毒する必要があります。