なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

なんり小児科ニュースレター2010年2月号

■■いま流行している病気は??  
新型インフルエンザの流行は落ち着いて来ていますが、患者数はまだまだ多く、重症化事例(1413人)や死亡例(154人;1月26日時点)も見られるので、引き続き注意が必要です。
厚生労働省の発表では、A型インフルエンザのほとんどが新型であるという状態が続いています。当院では予約なしでワクチン接種できます。ご希望の方は受付までどうぞ。
感染性胃腸炎、RSウイルス感染症もかなり増えてきています。今月はRSウイルス感染症について取り上げます。
 

福岡県医師会による感染症発生状況(第3週=H22.1.18~1.24)
定点における患者数
報告数
前週比
1定点当たりの患者数
福岡県
全国
感染性胃腸炎
1981
128
16.51
10.51
インフルエンザ
1220
89
6.16
8.13
RSウイルス感染症
361
111
3.01
1.01
水痘
237
106
1.98
1.12
A群溶連菌咽頭炎
162
137
1.35
0.93
 


 
■■RSウイルス感染症とは?
 
■感染経路:
飛沫や接触を介して気道に感染。
 
■潜伏期:
2~8日(典型的には4~6日)
 
■症状:
◎鼻汁・咳・発熱等の上気道炎症状
→通常は1~2週間で良くなります。
◎細気管支炎・肺炎等の下気道炎症状
→2歳以下、特に6ヶ月未満の乳児では上気道炎から下気道炎に進展しやすく(幼児では20~50%以上)、入院治療が必要になることもあります。
 
重症化のサインとしては、喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅーという咳)・陥没呼吸(肋間や胸骨の上部と下部がへこむような呼吸)・肩で呼吸する等の喘息の発作と同じような呼吸困難症状が見られます。

また、低出生体重児や生まれつき呼吸器・循環器に基礎疾患をもつ乳幼児は特に重症化しやすいため注意が必要です。

 
■流行時期:
毎年11月頃から流行が始まり、3月頃から次第に少なくなります。
インフルエンザの流行と前後するような流行曲線を描くことが多いと言われます。
 
■検査と診断方法:
鼻汁を使ったRSウイルスの抗原検出キット(迅速診断キット)が診断に有用です。
しかし、この検査で保険適応があるのは入院治療のみの為、外来では実費負担になってしまうのが現状です。
 
■治療:
基本的には抗生物質は無効で、症状を和らげる治療(対症療法)が主体となります。
◎解熱剤(アセトアミノフェン;カロナールやアンヒバ) →発熱に対して
◎鎮咳去痰薬や気管支拡張薬 →喘鳴や呼吸困難などの呼吸器症状に対して 
◎吸入 →直接気管に作用。気管を広げ痰を柔らかくし、発作を抑える働きがある。   
◎水分補給、点滴 →脱水症状が見られる場合  
◎酸素吸入 →低酸素の場合   
◎抗生剤 →細菌感染の合併が考えられる場合のみ 
 
■予防:
RSウイルス感染症は、感染者の痰・鼻汁への接触や咳で生じた飛沫を介して感染します。発症後7~10日は鼻汁や痰の中にウィルスが存在し、家族内感染も多く見られますので、手洗い・うがい・マスクの着用で予防に努めましょう。
 

 
参照・引用HP:保健環境研究所福岡県感染症情報・福岡県医師会HP