なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

なんり小児科ニュースレター2007年12月号

【 今年のインフルエンザ流行は早い!?ワクチンはお早めに! 】

福岡県感染症発生動向調査による過去5週間の報告数
病名
10/22~28
10/29~11/4
11/5~11
11/12~18
11/19~25
インフルエンザ
18
25
溶連菌感染症
118
104
158
166
173
感染性胃腸炎
656
848
1208
1946
2297

今年は、例年に比べてインフルエンザの流行が早いようです。
全国約5000の定点医療機関からの患者発生報告は毎週増加し、11 /19~ 11/25(第47週)の患者報告数は7162人で、過去20年で最も早い流行となっています。(例年の流行入りは12月中旬以降で、昨年は1月中旬と遅い時期でした。)
福岡県では、上表のとおり、過去5週連続で増加傾向をたどってはいるものの、関東や北海道における報告数よりまだまだ少なく、流行開始は12月に入ってからになりそうです。まだワクチンを受けていない方はどうぞお早めに! ちなみに今流行っている病気は、溶連菌感染症と感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)です(↑表参照)。


【 もし高熱が出たら、12時間以降24時間以内に受診を! 】
インフルエンザは突然の高熱にはじまり、頭痛・腰痛・筋肉痛などの全身症状を伴い、鼻水・咳・咽頭痛がやや遅れて出現するのが特徴です。まれに脳炎・脳症などの重い合併症に発展することがあり、アスピリンなどの解熱剤は脳症を起こしやすくする可能性があるため、解熱剤はアセトアミノフェン(アンヒバやカロナールなど)が安全です

インフルエンザの早期診断には迅速診断キットが有効ですが、発熱してすぐに検査してもウイルスが十分に増えていないため陰性(マイナス)になることが多いので、12時間以上たってから受診されたほうが確実に診断できます。ただし、タミフル(インフルエンザ治療薬)は、48時間以内に服用しなければ効果がないので、熱が出てから12時間以降24時間以内の受診をお勧めします。(※痙攣が10分以上続く等の緊急の症状が出たときはすぐに受診して下さい。)

インフルエンザ迅速テストを待ち時間の間にご希望の場合は、受付にお知らせください。
結果が陰性(-)に出た場合でも、症状の続く方は翌日にも再検査できます。誕生日が平成13年4月2日以降の方は無料ですが、それ以前の方(小学生以上・成人)は自己負担があります(同じ医療機関で1回目850円・2回目420円)。


【 当院におけるタミフルの処方について 】
タミフルについては、服用後の異常行動が多数報告され、その関連性が疑われています。現時点ではタミフルと異常行動との直接的な因果関係は証明されていませんが、厚生労働省の指示(2007年3月20日)によりタミフルの使用が「原則的に10代には使用禁止」とされました。当院におけるタミフルの処方については以下のとおりです。

1.10歳代の方については、原則的にタミフルは処方しません。

ただし、受験生やインフルエンザによって重症化する可能性がある病気をお持ちの方の場合は、タミフルによる副作用を理解して頂いたうえで保護者の方が希望される場合のみ、医師の判断のもとに処方することができます。

2.10歳未満のお子さんと成人の方については、希望される場合に処方します。ただし、タミフル治療開始後の事故防止策として、保護者の方は次のことに配慮してください。
★異常行動の発現のおそれがありますので、少なくとも2日間、保護者の方はお子さんが一人にならないように配慮をお願いします
※異常行動=突飛な行動(飛び降りる・走り出す)、興奮、うわごと、意識混濁、幻覚、妄想、痙攣等。
★また、インフルエンザウイルスによる脳炎・脳症や高熱による熱せん妄などでも異常行動のような症状があらわれることがあるので、タミフルを服用していなくても十分注意してください。