なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

ニュースレター2013年2月号:感染症発生状況・先天性風疹症候群

【 いま流行っている病気は? 】
 
 今は断トツでインフルエンザが流行っていますが、それ以外ではノロウイルスの嘔吐下痢やロタウイルスも少しずつ増えて来ています。ロタはノロよりもっと重症になることが多く、脱水による点滴が必要になることも多々ありますのでより注意が必要です。  
 ロタのワクチンも昨年から発売され、生後2~6か月までの赤ちゃんでご希望の方には接種しています。溶連菌感染症・水痘も多数発症しています。
 
福岡県医師会による感染症発生状況 (第4週H25.1.21~1.27)
病名 報告数 前週比 1定点当たりの患者数
福岡県 全国
インフルエンザ 9010 138% 45.51 22.58
感染性胃腸炎 1028 114% 8.57 7.04
水痘 295 122% 2.46 1.12
A群溶連菌咽頭炎 280 144% 2.33 1.51
手足口病 113 83% 0.94 0.19
突発性発疹 77 95% 0.64 0.46
RSウイルス感染症 70 149% 0.58 0.53
 
 
 
 
【 インフルエンザの流行は? 】
 
 インフルエンザが流行って来ました。全国で福岡が一番の流行県になり、先月最後の統計から1か月で15倍に増えています(657→992→1022→3320→6518→9010)。例年ピークは1万数千まで増えていきますので、まだまだインフルエンザの季節は続きます。ワクチンはもう遅すぎるなどと思わずに今からでも接種をお勧めします。発熱・頭痛・悪寒・体の痛み等の症状は、ワクチンを接種した方のほうが軽症に済んでいます。厚労省はワクチンを脳炎などの重症予防効果・死亡予防効果があるととらえています。
 
 また、インフルエンザの迅速検査が陽性(+)になるのは発熱後8~12時間が必要です。熱が出てすぐ受診されても、ウイルスが充分量増えていないため結果が陰性(-)に出ることがあります。意識障害や痙攣が止まらないなどの脳炎が疑われるような場合以外は、熱が出ても安静にして、しばらく様子を見てから受診されるほうがいいでしょう。
 
 
 
【 昨年の風疹流行により6例の先天性風疹症候群の報告がありました。 】 
 
 昨年7月号でも紹介しましたが、風疹流行が続いています。5年前からの風疹流行状況(全国累計)は、平成20年294人→21年147人→22年89人→23年369人→24年2353人(24年の患者の8割近くが男性)となっていて、今年25年も既に(3週間で)154人と引き続き流行が続いています。この大流行の為、危惧していた先天性風疹症候群の赤ちゃんが昨年10月~今年1月にかけて6人誕生しました。

 先天性風疹症候群の誕生の全国集計は22年0→23年1→24年5人→25年1人となり、昨年の風疹大流行が大きな影響を及ぼしています。今のMRワクチン(麻疹・風疹混合)1期・2期が始まったのはごく最近の、5年前に過ぎず、その前は1~7才半までの男女にMR(麻疹・風疹混合)1回のみというものでした。又それ以前は、中学2・3年の女子のみ1回だけの接種でした。この時期に風疹予防接種をしていなかった子ども達(現在30~40歳の男性)が発症し、昨年になって首都圏を中心に爆発的に流行(例年の10倍)したのです。そしてワクチン接種もれ、あるいはワクチンをしていても1回だけなので抗体価が低くなり感染予防出来なくなった妊婦が風疹にかかり、先天性風疹症候群(難聴、心臓病、白内障や精神発達遅滞)の赤ちゃんが生まれました。我が国の予防接種政策の遅れがもたらしたものにほかなりません。

 風疹ワクチンを1回しか受けていないか一度も受けていない方たちは19歳以上で、風疹にかかったという確かな証拠のない方は早めのワクチン接種をお勧めします。特に今から赤ちゃんを望んでいる方は、抗体の有無を確かめて、ワクチン接種を決めましょう。時間のない方は、抗体の有無を確認する血液検査なしで直接ワクチンしても特に問題はありません。
 
 
 
参考文献・HP:
ベッドサイドの小児の診かた(南山堂)・福岡県医師会HP