なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

ニュースレター2012年5月号:ワクチンのいろいろ

【 いま流行っている病気は? 】
 
5月末から急に日差しが強くなり気温も上がり、夏が近いと思わせる日々ですね。さすがにインフルエンザはずいぶん少なくなりました(前号から1589→1022→421→281→156→88 )。ロタウイルスの胃腸炎も少なくなり、代わりにアデノウイルスや夏のエンテロウイルスによる感染性胃腸炎が増えて来ています。溶連菌・水痘・おたふくかぜは変わらず流行中で、夏に多い病気:アデノウイルスの咽頭結膜熱(プール熱)が増加、ヘルパンギーナ・手足口病などがちらほら見られるようになりましたが、全般的に病気は減少しています。春の運動会で日焼けした子ども達も増えました。「真っ黒に日焼けした健康そうな子ども達」などというのは全く嘘で、日焼けは不健康なのです。勿論適度に日光を浴びるのは骨を強くするために必要ですが、過度の日焼けは皮膚の免疫力を低下させ、湿疹がひどくなり、皮膚がんの危険が高くなります。小さいお子さんでも、肌に合った日焼け止めクリームを塗ったり、長そで・長ズボン・帽子などで肌を守りましょう。
 
福岡県医師会による感染症発生状況 (第21週H24.5.21~5.27)
病名 報告数 前週比 1定点当たりの患者数
福岡県 全国
インフルエンザ 88 56% 0.44  0.56
感染性胃腸炎 1031 105 8.59 8.71
A群溶連菌咽頭炎 310 94 2.58 2.56
水痘 232 102% 1.93 1.21
流行性耳下腺炎 104 108% 0.87 0.47
咽頭結膜熱 101 117% 0.84 0.35
 
 
 
 
【 ポリオワクチン接種児の便からのポリオウイルス感染を防ぎましょう。】
 
今年4~5月のポリオ会場は以前と打って変わって接種者が激減して、診察に駆り出された小児科医はとても暇でした。9月の不活化ポリオワクチン(IPV)開始を待って経口ポリオを見合わせる人が多かったのです。ということはポリオの免疫が全く無い乳児が増えているわけですから、心配なのはワクチン関連麻痺です。生ポリオワクチンを飲んだ子どもの便に数週間にわたって排泄されるポリオウイルスが、ポリオワクチン未接種の子どもの口に入らないように、注意する必要があります。保育園・託児所等ではその対策を立てて、努力しておられるようです(使い捨て手袋→沐浴台上での交換(子ども達が覗きこまない様)→おしり洗い→おむつ個別にビニール袋詰め→しっかり封してごみ容器内の袋へ→石鹸での手洗い消毒→沐浴台の洗浄消毒:みゆき保育園の例) お母さん方もお子さんを連れて集まったりする時等、うんちのおむつ交換時には手洗い・おむつの始末など十分注意が必要です。
 
 
 
【 子宮頸がん・ヒブ・肺炎球菌ワクチンを定期接種に!いま国会へ 】
 
世界の先進国ではとっくに定期接種になっている子宮頸がん・ヒブ・肺炎球菌ワクチンは日本でも昨年3月から公費で摂取できるようになりましたが、定期接種ではなく任意接種ということで1年ずつ予算が組まれてきました。この5月末に定期接種の案を厚労省が提出し今国会にて論議される予定。
毎年無料化を巡って心配する必要が無くなり、万一の接種事故などにも十分に対応されるのは嬉しいことです。問題は市町村の財源らしいのですが、税金の有効な使い方としてはベストだと思いますね!
 
 
 
【 予防接種法改正:7種類のワクチン無料化を要望 】
 
厚労省・予防接種部会は、7ワクチン( 子宮頸がん・ヒブ・小児用肺炎球菌・水痘・おたふくかぜ・B型肝炎・成人用肺炎球菌 )の定期接種化の要望をまとめました。これが実現すれば日本もやっとワクチン後進国の汚名返上ということになりますが、取り敢えず3種類(子宮頸がん・ヒブ・小児用肺炎球菌)の定期接種を優先するという状況も出て来ています。すべては財源の問題に帰着するようで、税金の無駄遣いのいろいろを本気で究明しようと言ってた民主党さん、どうなっちゃってるのでしょう。
 
参考文献: 福岡県医師会ホームページ 日本医師会インターネットニュ—ス