なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

ニュースレター2011年7月号:手足口病・ヘルパンギーナ

【 いま流行っている病気は? 】

手足口病、ヘルパンギーナが凄い勢いで増えてきています。幼稚園・保育園・小学校でとても流行っていますので注意してください。関東地区で麻しん・風疹が増加中です。関東からの移住者も多く、夏休みは特に移動も多くなる時期です。ワクチンの該当年齢の方は、忘れずに早めに接種しましょう。
 
福岡県医師会による感染症発生状況(第25週 H23.6.20~6.26)
病名
報告数
前週比
1定点当たりの患者数
福岡県
全国
手足口病
2531
174%
21.09
2.60
感染性胃腸炎
614
90%
5.12
4.86
ヘルパンギーナ
324
204%
2.70
0.86
A群溶連菌咽頭炎
294
89%
2.45
2.26
水痘
280
78%
2.33
2.07
流行性耳下腺炎
156
80%
1.30
1.11
インフルエンザ
15
43%
0.08
0.29

 
 
 
【 手足口病とは? 】

特徴・症状:皮疹(直径1~4mmくらい)が手足口におもに出現するので、手足口病と呼ばれています。皮疹は赤い丘疹(赤く盛り上がった発疹)で、手、指、ひじ、足、膝、お尻に出現し、時に水疱を作ります。痛痒いという子もいますが多くは無症状、口の中の粘膜疹は、口の中全体に小水疱ができます。痛くて食べられません。小さい子ではよだれが多くなります。発熱はあまりなく、37℃台で、高熱は出ません。下痢・嘔吐を合併することもあります。

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潜伏期間:2~5日
 
原因:夏かぜのウイルス(コクサッキーA群・B群ウイルス、エンテロウイルスなどの小腸で増えるウイルス)。糞口感染なので十分な手洗いが必要です。
 
治療:ウイルスを治療する薬はありませんので、対症療法になります。痛みへの治療や刺激の少ない食べ物や飲み物など。
 
登園・登校:一般的に軽いので、保育園や学校を休む必要はありません。ただし、合併症としてウイルス性髄膜炎・脳炎をまれに発症するので注意が必要です。



【 ヘルパンギーナとは? 】 

特徴・症状:ヘルパンギーナは、代表的な夏かぜの一つで、毎年夏になると流行します。突然の高熱(39~40℃・3日前後)が出て、のどの奥に赤い小さな水疱が数個~十数個できます。つぶれて潰瘍になると唾を飲み込めないほどの強い痛みを伴い、乳幼児ではよだれがひどくなったりします。高熱とのどの痛みで食欲がなく、機嫌はとても悪くなります。
 
潜伏期間:2~5日
 
原因:コクサッキーA群ウイルス
 
治療:手足口病と同様、特効薬は何もありません。のど越しの良いものや刺激の少ない飲み物などで脱水を予防し、頓服や座薬で熱や痛みを抑えてウイルスの勢いが衰え、自然に良くなるのを待ちます。
 
登園・登校:熱が下がって普通に食事ができるようになれば、保育園・学校など行ってもかまいませんが、髄膜炎などの合併症(高熱・頭痛・嘔吐)もありますので、炎天下での運動は控えて、室内で過ごすようにしましょう。
 
 
★★今年の手足口病とヘルパンギーナの特徴として、同時発症が多いことに驚いています。共通の原因ウイルスであるコクサッキーA群の流行が推測されます。手足口の発疹に気付いたら、のどの奥のヘルパンギーナも気をつけて見ておきましょう。高熱が出て思いのほか重症になることがあるようです。
 
 

引用・参照:
福岡県医師会ホームページ 
小児科臨床ピクシス年代別子どもの皮膚疾患
開業医の外来小児科学