なんり小児科クリニック

福岡市東区のなんり小児科クリニックの公式サイトです。【院長】南里月美

ニュースレター2011年2月号:流行状況・インフルエンザ治療薬・副作用

【 インフルエンザが流行しています! 】

全国的にインフルエンザが流行しています。特に九州・沖縄地区で多く、福岡県の感染症発生動向調査によると、過去5週の報告推移は、458→992→2266→5039→9697となっています。A型中心(香港型と新型)で、その中でも新型が多い結果となっています。
 
 感染症発生動向調査週報(3週=H23.1.17~H23.1.23)
 病名
 報告数
前週比 
一定点あたりの患者数 
 福岡県
全国 
 インフルエンザ
9697
 192%
 48.97
12.09 
 感染性胃腸炎
 1029
 107%
 8.58
8.49 
 水痘
 361
 102%
 3.01
 1.98
伝染性紅斑
 338
 98%
 2.82
 0.68
 A群溶連菌咽頭炎
 297
 113%
2.48 
1.44 

 
 
【 インフルエンザ検査について 】

発症早期ではウイルスの量が、迅速診断キットで検出できるところまで増えていないことが考えられ、発熱後すぐに来院されると、検査がマイナスになることがあります(小児では発症後6時間までの感度は60~70%、発症後7時間から12時間では80~90%と報告されています)。頭痛・全身倦怠感・高熱があった場合(ワクチンをしていない方は高熱が出ますが、ワクチン済の方は37~38度のこともあります)は、慌てずに様子を見て、発熱後7~8時間以上たってから受診されるほうがいいでしょう。但し、ひきつけ、うわごと、幻覚、嘔吐などの症状がみられる場合は、脳炎・脳症などの危険もありますので、すぐに受診して下さい。
 
 

【 インフルエンザ治療薬について 】
 

現在使われているインフルエンザ治療薬は、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタの4種類です。いずれもインフルエンザウイルスの増殖を抑えるノイラミニターゼ阻害薬といわれるものです。ウイルスの増殖を抑える薬なので、ウイルスが増殖しきってしまう前、つまり48時間以内に服用しなければ効果がありません。

タミフル(リン酸オセルタミビル)
内服薬
最も早く開発されたインフルエンザ治療薬で、全世界でもっとも多く処方されているため、耐性ウイルスも出ています。1日2回、5日間服用。体重により粉末とカプセルを考慮します。
リレンザ(ザナミビル)
吸入薬
1日2回 10mg(5mg×2)、5日間吸入して使う薬です。小児、成人ともに同量。
ただし、子どもは上手に吸入をできる年齢でなければ効果が不確実なことがあります。また、吸入薬のため、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患など、呼吸器に病気のある人は、注意が必要です。
イナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)
吸入薬
一回の吸入でタミフル・リレンザの5日分の効果が期待できるといわれています。成人及び10歳以上の小児は2回吸入、10歳未満の小児は1回吸入して使用します。
ラピアクタ(ペラミビル水和物)
点滴薬
1回の点滴(重症例は2回)でタミフル5日分(2錠×5日分)とほぼ同等の治療効果があるといわれています。薬を飲むのを嫌がり脱水などで点滴が必要なお子さんには有用かもしれません。1回分(小児は体重で変わります)を、15分以上かけて点滴します。重症の場合は連日投与も可能です。

 
 
【 インフルエンザ治療薬の副作用について 】

インフルエンザ治療薬(上記4種)に共通する主な副作用は、下痢・嘔吐・腹痛等です。また、タミフルについては、精神・神経症状(意識障害、異常行動、せん妄、幻覚、痙攣など)表れることがあり、異常行動との因果関係は不明であるものの、2007年3月20日より10代には原則として使用禁止となりました。タミフルは全世界(特に日本)での使用量が他の薬剤に比べて圧倒的に多いため異常行動が多く報告され問題になりましたが、ほかの薬剤においても、異常行動がみられないわけではありません。他の薬剤で異常行動の報告例が少ないのは、使用数が少ないためで、基本的に異常行動等の副作用については同じではないかという意見もあります。
また、薬を服用していなくても異常行動がみられることがあるので、薬を服用するしないにかかわらず、インフルエンザにかかったら少なくとも2日間は、お子さんが一人にならないようしっかりと付き添ってあげることがいちばん大事です。
 
 
参照:福岡県医師会・福岡県感染症情報(福岡県保健環境研究所)